スペインにおけるカカオの変身

ヨーロッパにおいて カカオは最初に新大陸を統治するスペインに入った

カカオの飲み方は改良され「新大陸の珍奇な飲み物」から 砂糖やバニラなどを入れた「芳醇な香りのする甘い飲み物」に変身

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カカオはスペイン宮廷の人々を虜にした

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はじめてスペインでカカオが調理された場所は スペイン・アラゴン地方の町 サラゴサの南にあるピエドラ修道院

その修道院は大きな岩場に囲まれた地域に建っているが そこの記録によると 1534年にはじめてカカオが調理された

それは エルナン・コルテスがメソアメリカからスペイン宮廷にカカオを献上してから10年も経っていない

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現在は ピエドラ修道院跡は観光地となり チョコレートの歴史が展示されている

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ピエドラ以外の カカオを調理した修道院

その一つはバルセロナから車で1時間ほど西にあるカタルニアの町 タラゴナ郊外のポブレー修道院

二つの修道院はいずれもシトー会派により建造されたが

12世紀はじめにその地からイスラム勢力を追い出し 1137年にカタルニアとアラゴン連合王国を作った勢いで建立された

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シトー会派修道院のルートで カカオがフランスやベルギー(当時はスペインの植民地)にも伝わったとされている

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ポブレー修道院の「チョコレートの間」には 器に入れたカカオをささげ持つ修道士の絵がかかっている

その絵の右上に書かれているラテン語は 『旧約聖書』のなかの「出エジプト記」に出てくる一節で 直訳すると

「壷を一つ取って,それにマンナを入れ,主のみまえに置いてあなたたちの子孫のために保存しなさい」

P9、10『チョコレートの科学』

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