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黒須紀一郎氏の著書 3

2014年4月21日 15時55分の記事

 


婆娑羅 太平記 真言立川流』より

「勧進僧の仕事とは、単に橋のたもとや四辻、坂下、門前などに立って、喜捨を乞うものとばかり文観は思っていたが、実際にはそのような単純なことではなかった。勧進僧とは、少なからぬ金品を喜捨によって集め、寺院の修造だったとした場合、下には、番匠(大工)・鋳物師・仏師・仏具などの職人・資財を運ぶ馬借・船頭・石工・杣人らの大集団が組織されるのである。つまり、これら職人たちの頂点に立つのが勧進僧なのである。そのため、悉皆(しつかい)奉行、つまり全てを管理監督する奉行とも呼ばれていた。また、大寺院の造寺造仏ともなれば、資金調達のために「唐船」と称する貿易船を派遣することもある。それ故、元や高麗につながりのある交易商人も、傘下に収めなくてはならない。」

「勧進僧とは、言ってみれば、これらの集団に立つ大棟梁なのである」

 


     *

 


「いずれも行きかう人が思わず振り向くほどの美人であった」


~僧のくせに、女を連れている~
と眉をひそめる者もいたかもしれないが

「この当時の風潮としては別段奇異なことではなかった。また、たとえ眉をひそめても、女の持つ美貌と清浄感にうたれて、たちまち下衆な勘繰りは消え去る。同じような清浄感は文観にもあって、却って人々はこの二人連れに、好感さえ感じてしまうから不思議であった。たとえ、汚れた柿色の衣をまとっていても、修行の魂が発する輝きは、人々にも判るのであろう。また連れている女も、とりわけ華美な服装をしているわけではない。それが、市井の女であろうと遊女風であろうと、そこにはやはり修行をつづけている人間の奥の深さがあって、人々に安堵感を与えるのだ。」

 


     *

 

髑髏

「同じ髑髏でも九段階ある」

「第一が智者、次が行者、それから国王・将軍・大臣・長者・父母・千頂・法界髏となる。千頂とは、千人の髑髏を集めてこれを細かく砕いて作ったもの。法界髏とは、加持祈祷をすると明るく光るものか、冬霜の下りた朝、その頂に霜のないもののことをいう」

その髑髏に上等の漆を繰り返して塗って箱に納め
「赤白二渧の和合水」を120回髑髏に無理重ね 最後に彩色を施し

「美女または童子の顔に作り上げる」
完成したものは 錦の袋に入れ 「壇上に据え」 その前で

延々  儀式をしたり 何かを念じたり・・ と

 

(どこかの世界のオハナシ)

 


     *

 

~和泉の国泉の血渟(ちぬ)の山寺に吉祥天女の摂(しょう)像あり。聖武天皇の御世、信濃の国の優婆塞(うばそく)、その山寺に来り住し、天女の像をみて愛欲を生じ心にかけて恋ひ、六時毎に願ひていはく、天女の如き容好(かおよ)き女を我に賜へといふ。優婆塞夢に天女の像に婚(いな)ふと見、明日みれば、その像の裾(も)の腰不浄に染み汚せり。行者視て慚愧していはく、我似たる女を願ひたるに、何ぞ忝くも天女専らみづから交り給ふと。~
(『日本霊異記』)

(『日本霊異記』は 平安時代の822年頃「興福寺」の僧景戒によって記された仏教説話集)

 

 


     *  *  *

 


漆の上に何かを塗り重ねたかったのか    こてこて

 

 

 

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